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ver2.61で過電流保護協調図に行き着きましたので、ここでOCR試験の問題について考察いたします。一般的な試験方法等とかについて述べるものではありません。
 主要メーカーの保護継電器
過電流継電器(OCR)試験の問題点について
スペイン・アンダルシア地方のサンルーカル・デ・バラメダへ向かう自動車道からの撮影。小高い日当たりの良い丘陵地帯に風力発電機が林立し、偏西風を受けた白い風車がどこまでも青い空に飛んでいる。その眼下にはブドウ畑とオリーブ畑が延々とひろがっている。
 電流を流し電流を制御(調整)する方法は大別して二つあります。一般的には電圧調整器を使用したもの、もう一つは半導体を利用したアンプやスイッチング動作で電流を流す方法です。昔の参考書に載っているように(水)抵抗器で直接電流を調整する方法もありますが、現場での試験はスマートにはいかないでょう、もっとも磁気歪みによる電流の歪みの点からはGOODです。
電圧調整器を使用した試験器
1.試験器について
 このタイプの試験機は多くのメーカーから出されていますが、電流を流す方法は下図のように実にシンプルで原始的です。電圧調整器(スライダック、ボルトスライダー、ボルトレギュレーター、SD、VR)は試験機の外観、重量からみてoutputは連続定格で20A程度までのものです。試験では50A以上の大電流を流す必要もありますが短時間であり、そのときの出力電圧は20V程度までですので自己容量の範囲内であり、連続定格50AのSDを使用はしていません。第一ばかでかいものになり実用的ではありません。
 実際の試験器ではこれに電流計レンジの切替SWをつけたり、小電流の場合は調整が微妙で難しいので下図のように電流回路にシリースに抵抗器をいれたり、R相とT相の切替SWをつけたり、電源SWをMgSに変えてOCRが接点すればOFFにしたり、OCRの形式(電流トリップ、電圧トリップ)によって接点構成を変えたりしたりと、また電圧継電器にも使えるようにさまざまな回路を付加して販売されています。
 このタイプの試験器には二つの問題があります。一つは電源の変動や歪がそのまま出力にあらわれること、それとあとで述べる試験方法にも関係してくることですが電源と出力が絶縁されていないことです。後者のほうについては電源の極性ランプを付けて電源の接地側と被試験機器の接地側を合わすようにしているようです。
MITSUBISHI
HITACHI
TOSHIBA
FUJI
OMRON
MEIDENSHA
NISSIN

HIKARI SHOUKOU
 後者の問題を解決するためには電源と出力の間に絶縁TRを入れることです。この場合VRの一次側に入れるよりも下図のように二次側に入れるほうが合理的です。一次側に入れると100/100Vで1:1のTRになりますが二次側に入れると出力側は25V程度でよいのでSD二次側の電圧が100Vまで昇圧でき、そのぶん電流が少なくてよいのでVRが上記のタイプより小型ですみ、VRもTRも定格以内なのでR=0に短絡しておけば出口で50A連続で流すことができサーマルリレーのように長時間の動作時間測定にも無理なく使用できます。また大電流域における磁気飽和による電流歪にも幾分有利と考えられます。欠点は重量が少し増すことですが、筆者の試験器製作・あらゆる形式のOCR試験の経験からはVRは5A定格でも十分で出力のリード線を短く太くすれば歪を無視して(継電器のZにもよりますが)80A程度まで流すことができます。何よりの利点は電源と出力が絶縁されていることです。
 なお、この絶縁TRの二次側コイルに小さい電圧のタップを出しておきRを適当に選べば地絡継電器・漏電継電器の電流調整に便利ですし、300V程度までコイル(細くてよい)を巻き足しておけば過電圧継電器や不足電圧継電器(電圧復帰用にもう一組いるが)の試験器にもなります。上図の試験器も汎用といっているのは電圧昇圧用の絶縁(か単巻きか不明ですが)TRは抱いています。
半導体を利用した試験器
椛o興電機製作所
潟サシインテック
潟Gヌエフ回路設計ブロック
葛゚計システム
デンソクテクノ
富士電機システムズ
新川電機
 試験機器メーカー
この頁にある図はBLOCKO2で作図したものを利用しています。
JISC4602(高圧受電用過電流継電器)の8項の試験方法8・1・(5)で波形ひずみ率は5%以内の条件で行う、と規定されています。
右はひずみ率5%の波形です。第5調波のみで位相角は0度です
高調波分析プログラムのダウンロード(フリーウェア)
VR 山菱電機 V-130-5、V-130-10
TR 町のTR屋さん・NETでTR屋を探す・最後は自作
R 日本抵抗器・他 GR
A 横河M&I 201309、201314、201400
ms
試験器メーカーの単品のものは少なく、あってもなぜか非常に高価、電子計測器メーカーの10万円以下のユニバーサルカウンタで十分で応用用途も広い。またはカウンタ用ICで自作
OCRの良否判定はJIS・JECの良否判定を基準にすることが多くあります。経産局の書類審査でもメーターのトレーサビリティは厳格に追求しますが、現状では試験電流のひずみ率のことまでは言及しません。
 上記の継電器試験器で特定のメーカーのOCRを小型発電機の電源で試験した場合や、特定の工場の所内電源で試験したとき、試験結果に誤差が多くでるときがあります。これは電源のひずみが原因です。それを回避するため電源に入力AC100V/出力AC100V、2kVA程度の正弦波出力コンバーターを入れて上記試験器と組み合わせるのも一つの方法ですが、入力AC100〜200V/出力AC50A程度の(広い意味での)コンバーターで直接出力する方法があり、後者は無歪試験器として販売されています。原理からいって電源の歪は出力に全く影響しませんが、無歪といっても歪が0%ではなく低いということで正確にいえば低歪試験器です。また電源からは絶縁されています。
 その内部構成は下図のように大きく三つの部分に分かれ、これに制御回路・表示回路・ms計等の付属回路がつきます。また単器では大型になるためAC20A程度の出力のものをを2〜5台必要台数を並列接続するタイプもあります。















 DGR試験器は小出力でよいため早くから50〜100W程度の厚膜混成集積回路アンプICやディスクリートで組んだアナログアンプ形式が使われていますが、最近はOCRも静止形になり誘導コイル形に較べ低VAタイプになってきましたのでパワーも少なくてすみ、上のデジタルアンプの技術向上と相まって、低価格化・軽量化が進みOCR試験器も今後はこのタイプが多く使われるものと思われます。
発振部 アナログ式やROMに正弦波を書き込んだデジタル式もあり。
周波数は50Hz、60Hzの固定だが、その周波数を中心に可変やスイープすると周波数継電器に、また2f〜n倍にすると高調波過電流継電器の試験にもOK、入力電源に同期した発振器もある
出力部 インバータ出力か、もしくはアナログアンプ形式であれば200W〜2000Wほどの大電力低周波増幅器だが、効率が悪いため、今後は小型・高効率・低消費電力と三拍子揃ったD級スイッチングアンプが主流になるだろう
電源部 旧型の重いものはトランスを使った整流形だが、スイッチング、チョッパ形電源が主流だろう
2.試験方法、特に電流を流すポイントについて
 ここからはOCRに電流を流すポイントについてですが状況は停電時の試験の場合といたします。、OCRが引出タイプであればテストプラグを差し込んでテストプラグから電流を流せばよいわけですが一般の高圧需要家では引出タイプは少なく固定式になっています。この場合どこから電流を流すのが良いか、ということを考察します。
下図はOCRと代表的なCT二次電流回路です。
1.C点から流すのは間違いです
 
あるメーカーのOCR試験器の取説や雑誌、書籍の多くはCTTの短絡片を外し、ASをOFF位置にしてCTT二次側のC点から電流を流すようにと記載されています。試験器のC1端子→OCR→PF→kW→AS→試験器のC2端子、と流れるわけですが、タップ5Aの場合限時要素の試験では1000%電流だと50Aの電流が整定時と時間測定時に、瞬時要素の試験では20〜60Aが動作試験時、整定時と時間測定時に流さなければならず、合わせて最低5回は50Aもの大電流を流すことになります。また普通OCRの試験では限時要素に200〜1000%の特性も測定します。












@定格5AのASに50Aの電流を流すことや、少ないとはいえ(電動機用の長時間タイプのOCRでは数十秒もの200%電流を流す場合もあります)100%以上の電流を流すことは間違っています。ASの構造は通電部分は接触式なので大電流により酸化皮膜が形成されやすくなり接触不良となりCT二次側オープン事故につながります。それでなくともASの接触不良事故は多く、試験で助長しているようなものです。そもそもCTTはOCRの試験をするためにあるわけではありません(日立ICUタイプのようにOCR試験用のCTTもありますが配電盤にASは付いていません)。もちろん短絡事故時にはそれ以上の電流が流れる場合もあるわけですが、瞬時電流の測定や整定に数秒も電流を流すのとは違って1秒以下の短時間です(状況によればASの交換も必要です。いずれにしてもASは15年を目安に新品に交換しましょう)

Aまた電流ループ内に図のようにPF計やkW・kWH計が入っている場合もあります。ASのような接触部分はなく電流コイルなので@のような問題はなく少々電流を流しても問題はありませんが回路のインピーダンスZが増える(普通2sqIV線の配線も長い)ので、瞬時要素の試験で普通の試験器で60Aの電流が流れるのでしょうか、無理やり流しても正弦波のピーク付近が尖った(磁気飽和した)ひずみの多い電流になります。そのためPF計やkW計の電流端子をクリップで短絡される場合もあるようですが、そんな手間をかけるぐらいならOCRの端子へ試験用の線を接続する方がベターです。
2.D点から電流を流すのが正しい方法です
 OCRの試験なのでOCRだけに流せばよいわけで他の回路や機器に電流を流してはいけません。従がってDポイントが正解です。OCR以外に電流は全く流れません。この場合CTTの短絡片をを外さなくても、(すぐに磁気飽和するようなCTは駄目ですが)普通にはCTの方へは小さな励磁電流しか流れませんので,OKですが、CTTの点検(弛み・接触面の状態・清掃)も必要ですので、上の図のように短絡片を外して試験を進めるのがやはり正解でしょう。また、4でも述べますが試験器の出力を電源と絶縁しておく必要もあります。
4.試験の最後にB点またはA点から電流を流して閉ループの確認をすること
 1のC点から流せばループ試験も兼用できると書いてある本もありますがB点〜C点間の区間のことは無視されていますし、CTTも外したままなのでCT二次閉ループの確認試験に全くなっていません。CT二次の閉ループ試験はCTTを平常状態に戻してB点から流すのが正解です。このとき2で述べたようにCT側へは電流はほとんど流れません。ついでに試験の方法にも触れておきます。














 この試験のとき問題になってくるのが最初に述べた電源の絶縁の問題です。高圧CT二次一端にはD種接地が施工されているので、もしOCR試験器の電源にB種接地が施された商用電源を使用する場合は接地側を合わさなければ電源がとんでしまいますので安全かつ速やかに試験を進めようと思えば絶縁TR付きOCR試験器が不可欠です。
 またこの試験器は連続して50A流せますのでCTが250/5A程度までならA点から50Aを流せばある程度のCT比の試験もできますのでOCR・CT回路の総合試験として申し分がないと思います。
3.磁気飽和・CT2次負担の試験もしましょう
 短絡で1次電流が大きくなった場合1次電流と2次電流はリニアーに変化せず磁気飽和のために比誤差が大きくなります。比誤差がー10%になるときの1次電流をCTの定格1次電流で除した値を過電流定数nといいます。一方CT2次側にはいろんな計器が接続されて使用負担というものがあり、同じCTでも使用負担が半分の回路であれば過電流定数nは2倍として扱えたりしますので、短絡電流の計算とその回路特性を一度は測定して把握しておくことは重要なことです。簡単なチェック方法がありますのでOCR試験のついでに実施しましょう。


この絶縁TRを組み込んだ試験器で下記のOCR、磁気飽和、ループ試験を実施している点検業者は作者の知る限りでは
エネサーブ株式会社がそうです





計測器は1年周期で検定試験を受けましょう
@ 普通ループの末端にあるASと電流計の振れを確認するため2.5Aの電流を流す(注1
A 電流計は最大値の1/2の振れになることを確認
B ASの相を切替え、R相のCTからではR相とS相で、T相のCT
からではT相とS相でスムースに流れることを確認(注2
C OCRの始動電流程度の電流を流しOCRが動作することを確認
D 電流トリップタイプのOCRであれば、Cを引き続きOCRを動作させ、引外しコイルへ電流が流れることを確認する注3
E Dの場合ASはOFF位置が望ましいが、最後にASをR(orSorT))相にしてOCR始動確認すればなお良し注4

(注1)普通OCRのタップは5A以下なので5Aを流すとOCRが動作し、電流トリップタイプの場合は電流がトリップコイルへ流れ試験がやりにくくなるため2.5Aを流す。
注2)CT×2の場合
注3
引外しコイルの動作電流を測定するのも良し。遮断器をトリップさせるのも良し。
注4)B接点が確実に閉じているかの確認
@ CTを単独にして(図のようにCTT短絡片を外して)CT2次側に電圧をかけていきCT2次側から励磁する(注1
A 電流計A1を監視しながら徐々に電圧を上昇させると電流の急増点注2がある。その時の電圧をDMMで測定(V1)
B 
CTT2次側からOCRタップ値の電流を流し、その時の試験器出力の端子電圧をDMMで測定する(V2)
C V1/V2がこの回路がほぼリニアーに動作する範囲です

(注1)工場でもない限り1次側から数千Aの大電流は流せません。
注2急増点を0.3Aとか0.5Aと決めておくのがよい、この点がほぼこのCT鉄芯の磁気飽和点でありCTの出力電圧である
注3)100%電流を流すための電圧、OCR自体にも磁気飽和はあるが電流電圧はリニアーと考える
三菱電機製の汎用CT
CD−40KではV1は35〜40V程度です。
V2は回路にどんな機器がぶら下がっているかによって変わりますが1〜3V程度のものです。
(例)V1=37V、V2=2.5VとしますとK=37/1.5≒15となります。Kが3程度と低い場合は過電流定数nの大きいCTに交換する必要があります。
OCRの問題では他にいろいろありますが、またの機会に述べさせていただきます。

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  ユニバーサルカウンタ
周波数、周期のほかに、時間間隔、パルス幅、位相、周波数比、デューティ比等が、簡単な操作で多彩な測定ができます。
μS・nS単位のパルスで動作するので強電分野では誤作動を起こして使いにくい面があるが、入力に適当なフィルターやDCリレーを入れて性能ダウンを図れば時間間隔モードでms計として十分実用になります。
 
OCRやOCR試験器の理解を深めていただくためのもので、一般には多少の問題は抜きにしてメーカー製のコンパクトな試験器で十分です。
作者は出力部にPD=150WのMOSFET(2SK1530・2SJ201)を10ペアーパラって電流帰還をかけた増幅器を作成したことがあるがひずみ率5%内で40Aは確保でき
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Es la foto que tome desde el coche en direccion a Sanluar de
Barrameda en Andalucca,Espana.
Los dinamos eolicos se yerguen en la zona de colinas con mucho sol,
los molinos blancos de
viento a favor de los vientos del oeste se alzan en todas las direcciones.
Las vinas y los olivares se extienden bajo la mirada.